毎日を心地よく過ごすためには、自分のライフスタイルを見つめ直してみるのもひとつの手。Curel MEMBERSHIPでは、食や暮らしなどの視点から、あなたがより自分らしく前向きに過ごせるtipsをお届けします。
外食が減り、自炊する機会が増えた今、これまで以上に健康的な食事を意識する人が増えています。せっかく自分で作るのなら、簡単でおいしくて、そして体に良いものを食べたいですよね。そもそも食事は、体を整える大切な行為。食べたものから摂取した栄養が血となり肉となり、私たちの身体を育みます。食事を変えれば体も変わる。そのために何をすれば良いのかを、料理家の中島芙美枝さんにお聞きしました。
<監修者プロフィール>
atelier MARU主宰。大学卒業後、メディア関係の仕事に従事。自身の病をきっかけに、やまと薬膳オオニシ恭子氏に師事したほか、食養を深く学ぶ。現在は自然栽培の野菜や手作り発酵調味料を使った料理教室やケータリングなどを通じて体を整える食事を啓蒙。女優やモデル、美容関係者にもファンが多い。
ヘルシーな食生活を目指すのなら、まずはじめにすべきなのは “使う素材を見直す”こと。自然に近い環境で育った肉や魚、オーガニック野菜を取り揃えて調理できたら理想的ですね。
ただ、手に入るルートが限られた食材を毎日集めることは、金銭的にも環境的にも難しいと感じる人が多いはず。でも、まだ諦めるのは早い! もっと手軽に長くヘルシーな食生活を続けられる方法があるんです。それは、味噌や塩、醤油、酢などの「調味料」にこだわること。1回に使う量はそれほど多くはありませんが、チリも積もれば山となる。毎日厳選した調味料を使い続けるだけでも、今までよりずっとヘルシーな食事に生まれ変わります。
先に挙げた基本の調味料は古くから日本の食卓を支えてきました。今ではほとんどの家庭で使われ、スーパーやコンビニで手軽に手に入ります。でも、見た目は同じでも、昔のものと今私たちが使っているものの多くは、製法が違うんです。例えば醤油。昔は大豆と小麦と塩だけで作られていましたが、今は旨味や深みをより分かりやすく感じられるような材料が加えられていることも。当然、私たちが使っている醤油に比べて、昔のものは大豆や小麦の含有量が多く、タンパク質も摂りやすいんです。塩も同じ。古くからある海水を乾燥させたり、岩塩を採掘したりしたものはミネラル分が豊富です。今ご家庭で使っている調味料も原材料をチェックしながら、なるべく昔ながらの製法に近いものを選ぶだけで、ヘルシーに1歩近づけるはずです。
さらにこだわりたいなら、自宅で調味料を作ることにトライしてみませんか?よく使う調味料の中には材料も作り方もシンプルなものがたくさん。自宅で再現するのも意外と簡単なんです。最近は味噌を仕込む人も増えてきていますね。ポン酢やラー油、豆板板醤、柚子胡椒、マヨネーズなども思ったより手軽に作ることができ、手作りだからこその美味しさを味わえます。特に、麹を使った発酵調味料も常備しておくと本当に便利。発酵調味料とは、麹などを混ぜて発酵させたもの。麹には米麹や麦麹、豆麹など種類がありますが、自宅で作るには米に麹菌をつけた米麹が手に入りやすいかもしれません。
初めて作るなら、醤油麹か塩麹からトライ。例えば醤油麹とは、米麹と醤油を合わせて発酵熟成させたもの。発酵の過程で麹菌から酵素が出て、醤油の大豆に含まれるタンパク質をアミノ酸に分解。すると旨味が生まれ、さらに米=炭水化物をブドウ糖が分解されることで甘みもアップ。つまり、醤油に自然の甘みと旨みがプラスされた万能調味料なのです。発酵することでビタミンB群も増えるから栄養価もアップし、腸内環境も整えます。
肉や魚の下ごしらえに用いれば、タンパク質が分解されてやわらかくなり、消化吸収を助けるので体の負担も軽減。作り方はとてもシンプルなのに、ドレッシングやナムル、炒め物、煮物。幅広い料理で使えるから常備しておいて損はありません。さらに、洋風の食事が好きなら玉ねぎ麹はいかがでしょう? 麹のチカラで発酵した玉ねぎからは甘みと深みが出て、飴色に炒めたときのような旨味が感じられるから、ポタージュやトマトソースなどにコンソメの代わりに投入してもOK。ニンニク料理をよくする人にはニンニク麹もおすすめです。
昔ながらの製法のシンプルな原材料でできた調味料は、身体に必要な栄養素を積極的に摂ることができます。自然な旨味や甘みや深みが出るから、旨味を出すための余計な調味料も不要に。味付けに自信がない人もこれ1つでなんとかなるはず。カラダに良い材料だけでできたヘルシーで美味しい自家製調味料、あなたも始めてみませんか?
***
次回は、あなたの料理をランクアップさせる、醤油麹や塩麹、ラー油の作り方をご紹介します。