肌の「印象」を、操り、楽しむ！

バスタブにゆっくりと浸かって、心身ともに解き放たれたあと、お風呂から上がって、ふと鏡を見ると……？　あれっ、いつもより、明るい！　誰しも、お風呂上がりのみずみずしい肌を見て「私の肌、結構いい感じ」「この肌が、ずっと続いたらいいのに」と思った経験があるはずです。お風呂上がりの肌＝自分比最高の肌。肌の印象が実はすぐに変わること、皆気づいているはずなのです。一方で、私たちは、肌そのものを変えるには時間がかかると思っています。生まれ持った肌質に加えて、調子の善し悪しのリズム、年齢と共に訪れる変化……。日替わりの肌とうまく付き合えなくて、ほかの誰かや過去の自分の肌と比べては溜息をつく。そんな自分がいるのも、事実だと思うのです。

職業柄、新作発表会に参加したり、記事の原稿を書いたりと、日常的に化粧品に触れる機会に恵まれます。そのたび、テクスチャーや香り、使い心地や仕上がりを試すために、私たちは、手の甲に化粧品をなじませて、もう一方の手の甲と比べます。「キメが整った」「つるんと滑らかになった」「潤って、ぱっと明るく見える」、そして「右と左、印象が違うね」。そのたび私たちは、「差」を目の当たりにし、具体的に言葉にするのです。その差は、手のみならず、顔で起こる。誰の肌にも起こる。まずは、自分にも生まれている差を観察、実感するところからスタートしてほしいのです。差が感じられないと義務になる、差が感じられると楽しみになる……、向き合い方次第で、いつものスキンケアが、まるで違うものになると思います。

「すりガラスに水をかけると、一瞬にしてガラスが透明に見えるでしょう？」。水が印象を変えるという、尊敬する美容のプロの「喩え」にはっとさせられました。潤いによる肌印象の違いをシンプルに教えてくれた気がして、深く納得させられたのです。以来、私は、化粧水をなじませるたび、その言葉を意識して、なるべく急がず、なるべく焦らず、瞬時の差を感じ取るケアを続けています。「お風呂上がりの肌は、自分比最高」「手の甲の印象は、瞬時にあんなにも変わる」とも、言い聞かせながら。ときどき、溜息をつきたくなることもあるけれど、だからこそ、努めて意識をすることが大切なのだと思います。差は、やる気に変わる。今日も明日も、楽しみながら積み重ねることが、今も未来も、好きな肌でいられる秘訣なのだと思います。