年齢と美しさの関係 齋藤薫連載Vol.2

年齢を重ねることに後ろめたさを感じ、若さに対して引け目を感じるのは誰にでもあること。でも今や、40代〜60代も主役になれる時代、30代など人生これから。年齢観が劇的に変わりつつあることに気づいてください。

齋藤薫さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

●衰えを見つけた時が大きなチャンス。
気づきこそが最も重要

自分の肌に明らかな衰えを見つけたのは、20代の後半。鏡の中に、今までなかった目尻の小ジワを見つけて、びっくりした記憶があります。実際そのときは「いよいよ来てしまった」とひどくショックを受けたもの。

でも年齢とは不思議なもの、そのままみるみる衰えが進んでいったりはせず、エイジングケアを始めた日から、状況は一変しました。不意に見つけた目尻の小ジワも、目立たなくしようという心がけだけで、印象は大きく変わるのです。私たちの潜在能力は考えているよりもずっと優れていて、本気のエイジングケアにはきちんと答えてくれるということに、まず気づいてください。

おそらくその時々に年齢を諦めていたら、順当に衰えていたでしょう。小さな衰えを見つけるたび、よい意味であがくべき。ショックを受けるたびにこれではいけないと奮起して、何か必ず新しいことを始めるべきなのです。

例えば、これまでの3倍時間をかけてスキンケアしたり、新しいファンデーションを買ったり、今まで使ったことがなかったカラーに挑んだり。そのたびに必ず新しい自分を発見できるくらい、何らか新しいことを始めてみる。それだけで見た目は劇的に変わるのです。面白いくらい。

「恋をすると人は必ずキレイになる」のは、説明するまでもなく女性ホルモンの分泌が高まるからですが、これと同じように新しい自分を発見したり、今日はキレイと褒められたりすることで生まれる高揚感や幸福感がキレイになるホルモンの分泌を高めたり、エネルギーそのものに変わったり、まさに自ら輝く力を高めてくれるのです。

だから何より大切なのは、自分の力を信じること。単に諦めないだけではない、力を信じて前に進むことなのです。

※年齢に応じたうるおいやハリのお手入れのこと


●街で、人の視線を意識するかどうか? それも重要。
意識しているうちは、ずっと人生の“主役”でいられるから

さて今、あなたは自分が主役の時代を生きているという自覚がありますか? 昭和の前半まで日本人の寿命は60代でした。だからその頃の主役は20代。30代を過ぎれば名実ともに中年という時代もあったわけですが、今や人生はまさに100年。50代は折り返し地点にすぎず、30代などむしろ人生これから。そもそも女性の人口の半分が50歳以上という時代です。年齢を重ねることに、後ろめたさを感じる時代ではもう全くないのです。40代でも50代でも60代でも、“主役”の自覚を持てる時代になったのです。

自分は時代の主役、そう思うと例えばどんな流行も自分のものとして挑めるはず。若さには敵わないと思ったら多分もう一生挑むこともないトレンドメイクにも、トレンドの服にも臆せずに挑めるはずなのです。強いまなざしをつくるアイメイクにも、オーラを発するような艶やかな肌にも。そうすると、街でも改めて人の視線を感じるようになるはず。

そう、“主役“の自覚とはそんなふうに、人の視線を意識するかどうかなのです。もう誰も自分を見ていないと思ったらやっぱりオシャレが虚しい。でも街で人から見られていると思うとオシャレもメイクも楽しくなる。どんどん人に会いたくなって、どんどんいろんな場所に行きたくなって、暮らしそのものがとても前向きになってくる。オシャレやメイクから始まるポジティブシンキングが確かにあることを知ってください。


●同時にキャリアを積んだ自分をちゃんと慈しんであげること。
メイクでは年齢を忘れ、スキンケアでは年齢を思い出す。両方の心が必要

ただその一方で、人生の主役を生きている年齢には、大人であるが故に人間関係や仕事や家庭内に様々なストレスの原因が潜んでいるはず。同時に、自分を心静かに癒してあげることも大切です。例えば毎日のクレンジングで気持ちまでを包み込むような心優しいアイテムを選ぶ、みたいなことさえ実は自分への気遣いになるのですから。

いくつになろうと自分の年齢に誇りを持つと同時に、キャリアを積んだ自分を労わるような心を持つこと、それが新しい年齢との向き合い方。ちょうど花を育てるように、光が燦々の窓辺に置いて誰かの目に留まることに喜びを感じながら、一方でたっぷりと水をあげ心を込めて手厚くお手入れしてあげる。言うならばメイクでは年齢を忘れ、スキンケアでは年齢を思い出して強く意識する、両方の年齢計算が必要。それでこそ100年人生を、ずっと主役として生きていけるはずなのです。

【格言】

年齢を重ねるほど、
新しい自分を始めるために、新しい美容を始める。
メイクでは年齢を忘れ、スキンケアでは年齢を思い出して。

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