人には、その日その日の“第一印象”がある

人には、その日その日の“第一印象”がある

“第一印象”をよくするためのテクニック提案は、世の中に溢れているけれど、もしも第一印象が初対面だけのものではなく、毎日変わるとしたらどうだろう。今回は、第一印象の新しい作り方。

齋藤薫さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

第一印象は“初対面”だけのものではない

人の第一印象は数秒で決まる……それは今や一つの常識。その“数秒”とは、ほぼ一瞬の言いかえと考えてもよく、もちろん出会った瞬間の「はじめまして」という第一声の、声のトーンなどの印象も情報として含まれるけれど、やはり視覚的な情報が第一印象のほとんどすべてを占めていると言えるのです。

ではその第一印象で一体どこを見られているのかと言えば、多くの調査やアンケートが何よりもまず「顔」、そう伝えています。次に服装、体型、あるいは髪型……と続き、いずれにせよほんの数秒で全身が見られているわけですが、やはりまずは顔。言うまでもなく顔は何より主張が強く、その人を一番先に伝えようとするからなのです。

ただ、顔の印象も実際は毎日違います。肌状態や表情まで含めて、顔印象はその日その日で異なり、いつどんな日に出会ったかで人の印象は大きく変わる、だとすれば、第一印象も“初対面”だけのものではないはず。実は、その日その日に第一印象がある、と言えるのです。

つまり、職場のように毎日同じように会う人に対しても、朝の挨拶とともに“その日その日の第一印象”でその人の好感度が日々更新されているとも言えるのではないでしょうか。昨日は疲れた印象だった人が、今日は輝くばかりに明るい人に見える……そんなふうに、“日々の第一印象”は、劇的に変わること、知ってほしいのです。

モノの第一印象も、人の第一印象も
フォルムの美しさで決まる?

では、顔の中の何が“日々の第一印象”を決めてしまうのでしょう。もちろんパーツパーツ、特に目もとは、第一印象を決める鍵となりますが、実はそれ以上に大切なのが“フォルム”ではないかと思うのです。

フォルムとはフランス語で形、形状を意味する言葉。物の輪郭=シルエットも、また物の質感も含めた、立体的な形状の姿形すべてを示すのがフォルム。よく耳にするのが「車のフォルム」という言葉ですが、これはデザインから表面の質感まで含め、車の外観全体を示しており、「官能的なフォルム」と言えば、なめらかで艶やかな曲線が印象的な車の魅力を伝えています。

一方「美しいフォルムのバッグ」と言えば、バッグ全体どこから見ても、また表面の質感やパーツパーツの形を見ても、すべてが美しいバッグをそんなふうに表現するのです。

それをそのまま顔に置きかえるとわかりやすいのかもしれません。髪型を含めた頭部全体のシルエット、フェイスラインや肌表面の凹凸、肌の質感そのもの、また肌のトーンまで含めた全体印象、それがフォルムであり、顔の第一印象を決める大きな決め手となっている、というふうに。

日々の肌のお手入れと髪のスタイリングが、
毎日の第一印象を形作っている

では、自分の第一印象も毎日毎日変わるのなら、日々どんなことを心がければいいのでしょう。まず何よりも、肌のお手入れ、それも基本の基本であるうるおいをいかに効率よく与えられるかで、“その日その日の第一印象”は大きく変わってくるはずなのです。なぜならうるおい一つでキメの状態も肌の質感も肌のトーンも、少なからず変わってくるから。それがまた全体のフォルムにも影響してきます。くたびれた印象に見える日は、肌自体が乾いていて、しぼんで見えることも少なくなかったり……。

そして髪型も、髪質や髪色、手間のかけ方整え方も含めて、その日その日、元気な印象か疲れた印象かを分ける大きな決め手となります。眉の形やポイントメイクのカラーや質感などももちろん印象を左右するけれど、全体印象としてやっぱり重要なのは肌と髪型であること、もう一度肝に銘じておきたいもの。

いずれにしても、私たちは毎日新しい第一印象を持って出かけていくことを、忘れないでほしいのです。初対面の第一印象がいかによくても、次に会った時に全く異なる印象を持っていって、相手をがっかりさせたなどということがないように。毎日毎日の第一印象を美しく整えて、一日を始めませんか。

【格言】

第一印象はその日その日で更新される。
だから“毎日毎日の第一印象”を美しく整えて、
一日を始めたい

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