一日一月一年……そのリズム、その節目をどう生きるか?

一日一月一年……そのリズム、その節目をどう生きるか?

人の一生にはいくつものサイクルの単位があります。一日一月一年……私たちはそれをどのように捉え、どのように生きたら良いのでしょう。改めて考える、一生における様々なサイクルの生き方。

齋藤薫さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

人には「リズム」や「区切り」が必要。
だから、朝が来て、夜が来る

もしも、もしも一日一日という区切りがなかったら、私たちはどう生きていくのでしょう。ずっと昼間だけが続いていたら、なんだかたちまちコンディションを崩してしまいそう。朝が来て、夜が来る……地球がくれたそういうリズムがあるからこそ、人は生き生きと日々を生きることができるのです。

単純に、朝、日の出とともに目覚めて、夜更けとともに眠るという、地球の営みに合わせて生きることにより、体内時計=サーカディアンリズムが整い、心身ともに健康でいられる……そうした法則があること、きっと知っているはず。

特に一日一日のリズムを上手に生きるために何より大切なのは、毎日コンスタントに質の良い睡眠をとること。近頃とみに睡眠の大切さがクローズアップされているのも、この一日一日のリズムを確かなものにするためなのでしょう。ベッドに入ってからの時間を、意識して規則正しく過ごすことで、一日のリズムがおのずと整っていくという考え方。

だから毎日ほぼ同じ睡眠時間をとることや、ベッドに入ってから眠りに入るまで、本を何ページか読むことなど、ある意味のルールを決めておくと、質の良い眠りを作れるよう。

もちろん日中も、毎日これだけは……という日課を一つ作っておきたいのです。一行日記を書くのもいいし、一日一善、良いことをするのでもいい。一日一つどんな小さなことでもいいから、意識して行うことが、毎日を素晴らしいものにしてくれるはずだから。

いずれにせよ、一日24時間というサイクルを生きている私たちは、今日のために昨日があり、明日のために今日があるということ、日々噛み締めながら過ごしたいもの。

なぜ一週間という周期があるのか
それに気づくと、日々はもっと有意義なものになる

一週間というサイクルは、人間に与えられたものの一つ。その起源は古代に遡り、“6日間で世界を作り出した神が、7日目に休息した”という旧約聖書の教えが、7日に一日は休息をとりましょうという習慣を作ったと言われます。

やがてローマ時代になると、一週間という習慣が定着する中で、太陽や月に加えて、5つの惑星……火星、水星、木星、金星、土星の名を7日間に当て込むことで、曜日という概念が生まれたのだとか。
 
この7日間の周期が、月の満ち欠けや、潮の満ち引きなど7の倍数であることも何か関係があるとしたら、それも地球の神秘の一つと言えるのではないでしょうか。

だから人も、7の周期でゆっくりと体を休めたり、リラックスした状態で自由な時間を持つことが何より重要だし、エクササイズなども週に何日と決めて週単位の周期で続けることが望ましいのです。マスクやマッサージなども週に2、3回と言われるけれど、気まぐれにやるよりも週単位で周期を決めておいた方が、生きる上でのリズムに調和しやすいということなのでしょう。

逆に言うなら、そもそも一週間のサイクルがもしなかったら、私たちはいやでも気まぐれとなり、行き当たりばったりな日々を送ることになってしまうのかもしれません。

当たり前のように一週間周期を生きている私たちですが、時々この話を思い出してみて。なぜ一週間があるのか、なぜ一週間の周期が大切なのか。そう考えていくとスケジュール帳やカレンダーって、やっぱりいつもそばに置くべきものなのだと気づくのでしょうから。

毎月のように訪れる年中行事を
丁寧にこなしていくほどに、人生は輝く

最近は春と秋を感じられなくなったと言われながらも、私たちの日本は四季に恵まれ、だから一年のサイクルをとりわけ敏感に感じてきました。そしてその四季こそが、命をフレッシュに切り替えるような感覚を、知らず知らずもたらしてくれていたように感じます。

さらに一年の周期というものを感じるために大切な決め手となってくるのが、いわゆる年中行事。1月から12月まで毎月のようにある年中行事は、ひな祭りや端午の節句、クリスマスのようなポピュラーなものはもちろん、例えば七草粥を食べたりお月見をしたりといった、うっかりやり過ごしてしまうような小さな習慣も、あえて毎月丁寧にやることによって、一年がとても生き生きしたものに感じられるようになります。

もともと日本の年中行事は、稲作社会を背景に中国の暦法の影響を受けて成立したものとされますが、一方にこんな説も……。宮中に働く奥女中たちが、ルーティンワークが続く平凡な日常に不満を感じてしまったり、何も起こらない日々を退屈に感じてしまったり、そうしたネガティブな感情に対し、良い意味での刺激をもたらすために設けられたものだという見方もあるのです。

年中行事とは、一人一人向き合い方が違うもの。まさに人生のオプションと言えますが、だからこそ丁寧に行うことで不思議な充足感があるもの。人の人生には節目が必要。その節目に寄り添いながら、人生を進めていくために。だから、節目は多い方が良いのです。

四季に加えて、毎月のようにある年中行事を、なんとなくでも小さなイベントとしてこなしていくうちに、人生は本当に彩りある、実り多いものになっていきます。一日、一月、一年を、意識してきちんと生きることによって、その人の一生は当たり前のように輝く、そう言えるのではないでしょうか。

【格言】

一日一月一年……私たちに与えられたこのサイクルを
意識して丁寧に生きることにより
人生はより彩りよく豊かなものになっていく

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