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透明感はもはやトレンドの一つ。その作り方などが、情報としてはたくさんあるけれど、それでもなお謎がいっぱいなのが透明感。そこで今もう一度その正体や演出の仕方を考えてみました。
齋藤薫さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト
これはあくまで持論であって、そういう統計があるわけではないけれど、いわゆる“一目惚れ”に共通した理由があるならば、それは紛れもなく“透明感のある人”。実際に、私が知る“一目惚れ経験のある人”の多くが、その理由に「透明感」をあげます。今や女性からの一目惚れでも「透明感がある人だから」という声をよく聞くような気がするほど、男女問わず、「透明感」は格別にモテると言って良いのではないでしょうか?
確かに第一印象で、ハッとするほど透明度の高い人っているもの。理屈を超え、一目で透明感を感じさせる人っているものなのです。でも、そういう人って一体何が違うのでしょう。
それが美しさの決定的な条件であることは誰もが知っています。「いっそ透き通りたい」というような美容テーマも登場しているほど、今や一つのトレンドともなっているのです。でもなぜそれほど人の心をつかむのか? 一体どうやって演出するのか? そもそも透明感とは何なのか? 実は謎がいっぱい。だからここで改めて紐解きたいのです。透明感というものを。
透明感ある人は、なぜ人の心を捉えるのか? 一つの理由は、その人の暮らし方までが美しいと思えるから。きちんとしていて、きれい好きで、日々を丁寧に大切に暮らしている、そんな印象があるからなのです。もしかしたら、食事にも気を遣っていて体に悪いものは口にしない、だからきっと体の中もキレイ……そんな印象まで読み取る人もいるのかもしれません。
さらに言うならば、心もキレイな印象。いつも気持ちが整っていて言葉を荒らげることもない。多分イライラすることもないのだろう。そしてきっと人に優しい。全て想像にすぎないけれど、でもそんな印象を全て醸し出すのが透明感なのでしょう。
じゃあ、そうした印象はどこから来るのか? もちろん肌の透明感は一つの条件。でもそれだけじゃない。例えば美しい髪にもある種の透明感を感じることができるのでしょう。それこそツヤやみずみずしさを持っていて、軽やかに風になびくような髪には、紛れもなく透明感を感じるものなのです。
そしてとても単純に、涼やかな淡い水色の服を着ている人には爽やかさを感じ、これもまた透明感ある印象につながっていくもの。言ってみれば理屈抜き。印象として透明感を感じるようなものを身に付けること、それだけだって良いのだから。
じゃあ透明感って一体何? と考えると難しい。そこで逆に、透明感を奪うものは何なのか? と考えてみました。その方が具体的に理解することができるから。
透明感を奪うもの、それはひとえに、くすみ、にごり。あらゆる場面に存在する、いろんな意味でのよどみ。そういうネガティブ要素がないものだけが透明感を宿せると定義できます。だから紫外線などによる日やけやシミを作らせないことも重要。
例えば、澄み切った青空や、光が射すと底まで見えるような美しい海には、確かにそれを遮るものがないように、くすみやにごりがなければ必然的に透明感が生まれるということなのです。
一方で、透明な空や透明な海を見たとき、心まで晴れるような喜びを感じるけれど、透明感に“見る人の心まで浄化する”ような力があるのは確か。肌の透明感も同様で、目にするとなんだか心地よくなる。これはおそらくその肌が潤いに満ちていて、見るからにみずみずしいからではないでしょうか。人は、とても単純に、水がないと生きていけないからこそ、水がそばにあると安心し、心地よくなるとされます。透明感ある人は、美しいだけでなく、人を心地よくするから愛される、そう言えるのかもしれません。
【格言】
透明感ある人は、美しいだけでなく、人を心地よくするから愛される。
日々を丁寧に大切に暮らしている、そんな印象があるから、見る人の心を奪う
2025年2月12日
齋藤薫さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト